あなたの施設にコンタクトレンズ処方希望の患者様がいらっしゃいました。
カルテを見ると「長年ハードコンタクトレンズ(以下HCL)を使用している」と書いてあります。
この患者様のようにご自身がHCLを希望されるケースのほか、不正乱視がある場合、角膜への負担が少ないコンタクトレンズ(以下CL)を勧める必要がある場合など、現在でもHCLの適応となる方は少なくありません。
実際にHCLを処方する際、フィッティング検査に不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回のコラムでは、HCL処方のフィッティングで確認する3つのポイントについてご説明します。
ハードコンタクトレンズを処方ではフィッティングが重要となります。
その際は「①レンズの動き」「②レンズの安定位置」「③フルオレセインパターン」の3つのポイントを確認し、総合的に判断します。
瞬目時に角膜上方までレンズが引き上げられたのち、スムーズに下降し角膜中央部で安定するのがベストな動きです。
動きが遅い、少ない場合は「スティープ」。
動きが速すぎる、左右に蛇行する場合は「フラット」であると考えられます。
フルオレセインパターンを示す「スティープ」「フラット」については、次項で説明いたします。
レンズの安定位置は、角膜中央部のカーブに合っている中央安定が理想です。
また、光学部が瞳孔領を覆っていることを確認します。
一方、自然な瞬目でレンズが引き上げられない下方安定には注意が必要です。
角膜の3時と9時の方向が乾燥して傷が付く「3-9ステイニング」が発生しやすくなります。
レンズの動きと安定位置の確認を終えたら、フルオレセインで涙液を染色します。
「涙液層の厚み」「涙液交換の様子」といったレンズ下の涙液の状態や、CLと角膜の接触範囲などを観察してフィッティング状態を判定します。
フルオレセインパターンは以下の3つにわけられます。
基本はノーマルを目指します。
・レンズの接触面ほぼ全域にフルオレセインの発色が均一に見られる
・レンズ後面と角膜前面がほぼ平行になっている
・涙液層が厚くなる中央部分はフルオレセインの発色が濃く、周辺部分は暗黒色となる
・レンズ後面の曲率が角膜前面の曲率よりも小さい
・レンズ中央部分は角膜と接触し暗黒色になる
・周辺部分は涙液層が厚くなるため浮き上がっており、フルオレセインが濃く発色している
・レンズ後面の曲率が角膜前面の曲率よりも大きい
HCLの処方では、以上のフィッティング項目を確認しながら、総合的に判断をしていきます。
その流れをまとめた動画をご用意していますので、ぜひご覧ください。
メニコンアカデミーのコンタクトレンズ研修では、クリニックスタッフの方を対象として、HCLのフィッティングを含めた教育のサポート・ご支援を行っています。
新人スタッフ様の入職時研修として、キャリアのあるスタッフ様のスキルアップとして、弊社研修をぜひご活用ください。
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